人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

On filme une scene quotidienne

adagiow.exblog.jp

伝説の監督、来たる

久しぶりに具体的な映画にまつわる話。(副題:おにぎりを持って映画館へ)

某日。あらゆる予定をなげうって、伝説と化している映画監督、長谷川和彦トークショーに参じる。この日、私は彼の唯二つの監督作品「青春の殺人者」「太陽を盗んだ男」を初めて見、その後に30年沈黙を守っている氏が登場、そのトークを聞いた。
デビュー作は、やはりデビュー作でしかできないことをやってのけていた。あの凄まじい力はなんだろう。母と息子の殺し合いは、息を呑んだ。母(市原悦子の怪演!)の断末魔のひと言「ああもう働かなくていいのね」は、このひと言で彼女のこれまでを表すような、すごみのあるセリフだった。水谷豊、原田美枝子の肉体は、はじけていた。橋の板を外していくシーン、死体を捨てた後の画面奥からこちらに向かってくるシーン、挙げ出す切りがない、青春の切実な二人の姿。「太陽」は、なんというか、2作目って映画としての冒険をしたくなるものなのかな? こちらはこちらで真面目なのにわらっちゃうみたいなのがいい。しかし、ジュリーはセリフを言わせるとどうも…。菅原文太の死ななさっぷりには、苦笑。いやもう圧巻。
さて、メインイベント、ゴジ登場。場内、超満員。静まり返った。私はどんな風貌の人かまったく知らなかったけれど、見てなんか納得。ガタイが良くて、声がよく通って、少し自己否定をしながらも思いは通す。敵も多いだろうが、これじゃ味方も多いだろうな。惚れ込まれるタイプなんじゃないか。「撮影に入ると、我を通してしまうからなあオレは…」と言わば撮影外の「しらふ」の状態ではそんなことを冷静に言う。憎めない。高校生のころの話を詳細に話されていて(そこから話すから、全然デビュー作にたどり着かない、笑)、--そのころの仲間の名前を昨日会った人の名のように口にする!-- 善かれ悪しかれどういう細部でも覚えている人が監督になったりするんじゃないんだろうか、などと思う。
by adagiow | 2009-12-13 08:21 | 映画
<< インビクタス 負けざる者たち ここ数日(2) >>